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断熱の話
近年、住宅業界では高気密高断熱仕様が急速に普及しています。それは地球温暖化対策としてCO2削減に国際的に取り組む事が本格的になっていく中、日本でも目標を実現すべく国がCO2削減に躍起になっている流れがあり、高気密高断熱はエコ=省エネ=暖かいというイメージが定着したので今やHM、工務店では競いあうように断熱性能を謳っています。そうなれば家を建てる側も高気密高断熱にこだわるようになり、T.N.Aのお客様でも気にされる方が増えてきました。高気密高断熱はもちろんするに越したことはありませんが、当然建築コストが高くなります。それをHMは90年代の光熱費と比べて断熱仕様はランニングコストで数百万円も安くなるからと進めているようですが、比べているのは20年も前のものです。HMの狙いはこうして建築コストをあげる事で一棟当りの粗利をあげることにつなげることだったりします。実際に某HMは竣工棟数は減っているのに利益が増えているというデータもあります。
僕自身断熱はある程度必要だとは思いますが、それだけに固執せずに例えば、日射熱をコントロールするだけでも室温は快適になるので、設計者が案件ごとに個別にその敷地、住まい手に合わせた設計の工夫をする事がこれから求められてくるのだと思います。住宅業界の高気密高断熱の流れはやがて落ち着いてくると僕は予想しています。要は流行りに過ぎないと思っています。なぜなら断熱を突き詰めるならいわゆる北海道仕様に行きつくのですが、そこまでする会社は限られてきます。それはやりすぎだと皆思っているのです。じゃあどこまでこだわるの?という質問に実は皆明確な答えが出せていないのです。なので設計者が一件一件個別に設計の工夫をしながら住まい手の思いを汲み取りながらそこにしかない快適な環境を創造できるかが行きつく答えなのかなと思います。ちなみに僕の家は高気密高断熱でもなくサッシもLOW-Eでもない普通のペアガラスです。だけど平均光熱費は月一万円で済んでいます。これは直射光のコントロールや通風の工夫で実現できています。HMや工務店ではある程度仕様や間取りが決まっており、敷地ごと、住まい手ごとの設計はできません。そうなるとこれからの時代、設計事務所のような個別に設計の工夫を取り組むようなやり方が注目されてくるのかななんて都合の良い予測をしています。(笑)