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台中オペラハウス
台湾巡りある意味最大の目的かもしれない台中オペラハウス。伊藤豊雄さん設計の建築です。場所は台北市から新幹線で一時間程南に行ったところにある台中市です。前回もかきましたが、新旧の差が激しい街です。その中でも特に発展著しくマンハッタンかと言わんばかりに高層ビルがひしめく中にどしんとこの建築は佇んでいます。まさに台中のランドマーク的存在になっていました。コンセプトはエマージンググリッドという、床、壁、天井が一つながりになった洞窟のような新しい構造手法によって今までにない新しい場の在り方を提案している事でしょうか。近代建築は、床、壁があってそこに屋根をかける事で空間が成立し、必要な機能ごとにその間取りを形作っていく、いわゆる「箱」をつくっていく形式ですが、この構造はランダムに緩やかに仕切り、緩やかにつながることで、間取りというものが希薄になっています。つまり機能を成り立たせるために壁を立てていくのではなく、ランダムな空間構成があってそこを使い手が発見的に機能を当てはめていくようなつくられ方です。(上手く伝えられない、、、。)
実物はダイナミックな空間が広がっていて、建築好きな自分は一人大興奮。はしゃぎすぎて筋肉痛になりました。(笑)ただ、床、壁、屋根が一つながりになっていることに大きな意味がある中で、壁と屋根は緩やかにつながっていましたが、床と壁が明確に分けられていて、ちょっと思っていた感覚とは違うようにかんじました。勝手な憶測ですが、本来は床も緩やかにうねっていて、これが床なのか、壁なのか曖昧になることで全く新しい空間が実現すると思っています。そしてそれは洞窟的空間ではなく、全く経験したことのない異次元の空間が広がっていてまさに近代建築を超える新しさを持っていると思っているのですが、そこだけが少し引っかかりました。しかし、久しぶりにこんなに興奮する建築に出会えたので大満足です。そしてこんなに施工が大変でコストもかかる建築はおそらく今の日本では無理でしょう。日本人建築家が海外に行こうとする理由が少しわかりました。この旅一番の目的は色々な事を学ばせてくれるものとなりました。