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事務所開設10年目を迎えました
最近バタバタが続いていて、思わず見過ごしそうでしたが、今日からT.N.Aは事務所を設立して10年目に入りました。10年という節目を迎えたんだなあと少し感慨深いものがあります。自動車会社に勤めていたころ、写真の安藤忠雄さんの「建築を語る」という本に感銘を受けて建築の道を進んできて、どうにかこうにかここまで来る事ができました。10年といって思い出すのが、設計事務所での下積み時代、クライアントの経営者の方に、「君たちは将来独立したいの?」と聞かれ、迷わず「はい」と答えると、「そう。独立するのは簡単だけど、そこから10年続くことなんてできるかな。そんな甘いものではないよ。」というお言葉をいただいたのを思い出します。なんのあてもなく建築家をめざしていた当時の自分は、当然将来に対する不安も抱えていたのもあって、すごく悔しくて未来への壁をつくられたような気分でした。そんな出来事があってから、何が正しいのかを決めるのはいつも自分だ、という考えにいたるようになり、どうにか10年目までくることができました。僕たちの仕事はいつもいつも人に支えられ、つながって成り立つものです。工務店の方や職人の方はもちろんですが、何よりお施主さんに支えられているのは常に実感しています。建物が完成して、お施主さんが希望に満ち溢れて新しい暮らしを迎えるのを目の当たりにすると、「ああ、このプロジェクトも色々あったけど、やってよかったな。」と思いますし、建築で悩んでいる時なんかにふとお施主さんに「中原さんにお願いして良かったです。」という言葉をいただくと悩んでる自分がばかばかしくなって本当に涙がでそうになります。僕は、建築は孤独の時間の中で生まれてくると思っています。ゆえにいつもどこかに孤独な部分を抱えているので時にそれが重く辛くなるときがあるのですが、そんな時にお施主さんに会うと何か満たされたものがあります。だからでしょうか、ぼくの設計のスタイルは常にお施主さんに寄り添う形になるのだと思います。この人たちに喜んでもらいたい、絶対に幸せな暮らしをしてもらいたいと思いながら図面を描いたり、模型をつくったりしています。そういう時間の積み重ねが今こうして10年目という形になっています。本当にお施主さんには感謝しかありません。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。またこんな僕を支えてくれた工務店の方々にも厚くお礼申し上げます。10年目の節目を迎えてこの一年は色々な事がある一年になります。今後ともT.N.Aをよろしくお願いいたします。